三浦建太郎先生、ご冥福をお祈りします。

ベルセルクは、人生で最も多感な時期に、最も影響を受けた、何度読み返したかわからないくらい大好きな作品です。

オイラは現在、妻と二人の子供を育てるアラフォーのおっさんです。

仕事から帰ったオイラに、開口一番

「さっき送ったLINE見た?」と妻が聞いてきました。

「え?あ、まだ見てない」

「なんでよ、ニュース見てすぐに送ってあげたのに」

「え?なになに?」と、LINEを開くオイラより早く妻が言った。

「ベルセルクの作者亡くなったよ」

「は?マジ?」

ベルセルクをはじめて読んだのは確か高2の頃。

当時、寮住まいだったオイラは、友人の部屋にあったベルセルクの単行本の、そのあまりにクセの強い絵に始めはなかなか読む気になれませんでした。

とはいえ、何度も勧める友人に押され、しぶしぶ読み始め、はじめこそ本当にこれ面白いの?と訝しんでいましたが、

ガッツが鷹の団の一員になるころにはもう、虜でした。

そして、あの、蝕が起こる12~3巻を読み進めるうち、

オイラの中の何かがひっくり返りました。

それまで信じていたものが崩れ去っていくような感覚。

自分の中の何かが壊れていくような感覚。

なんでそんな風に思ったのか?

なんでそんなことが自分のなかで起こったのか?

それまで勧善懲悪ものの物語にしか触れてなかったから?

今ではもう精細に思い出すことができませんが、

それまで読んだマンガの中で、1番の衝撃を受けました。

マンガだけじゃない、映画を観ても、音楽を聞いても、1度も起きたことがない感覚でした。

それから、自分でも単行本を買い、何度も何度も読みました。

自分の中で起きたことを確かめるように、

時には正座をして厳かな気持ちで読みました。

時には音読しながら読みました。

そして、あの感覚の答えを求めるように、

続きを渇望しました。

しかし裏腹に、連載のペースはどんどん遅くなり、

お話もどんどん広がっていき、

果たして作者が亡くなるまで完結できるのかと友人と冗談のように話したりしてました。

先生自身も、そんな冗談を言っていたと思います。

でも、その冗談は本当になりました。

今年、エヴァンゲリオンというアニメが完結しました。

まだ観てませんが評判はとても良いようです。

オイラはこのアニメ、エヴァンゲリオン直撃の世代です。

でも、当時はこのアニメを観てませんでした。

はじめて観たのは30歳を過ぎたころ。

面白かったけど、十代の多感な時期に観たほかの同世代が持ってる熱狂は、そんな一言で片づけられるようなものではないんだと思います。

オイラにはとってはベルセルクがまさにそれだったんだと思います。

エヴァは完結しました。

「ベルセルクは、終わらなかったなぁ」

なんとなしにそんなことを呟いたら、それからだんだん色んなものが溢れてきて、

本当にどんどん、どんどんいくらでも溢れてきて・・・

それこそやっぱり言葉にならないくらい、たくさんのことが思い出されたり、気づかされたり。

本当にもうなんなんだよ、

なんなんだよベルセルク!

ベルセルクを読んで以来、どんな映画を観ても、漫画を観ても、アニメを観ても、心のどこかでベルセルクと比較してた、これはもうもはや無意識的に!

心のどこかであの感覚の答えをずっと探してた。

そして、待ちわびて待ちわびてやっと出る単行本を読めばますますお話は広がっていて終わる気配もない。

けど、ないんだよ、ベルセルクよりスゴイものなんて。

何度も何度も蝕のあたりを読み返して・・・でもあの天地がひっくり返ったような感覚の答えはない。

だって俺は続きが読みたいんだ!

ガッツとグリフィスの物語の結末を見届けたいんだ。

でももうそれはできない。

まさか、17歳のオイラはこんな日が来るなんて思ってなかった。

最近ではもしかしたら、完結しないかもって、本気で思ってた部分もあったけど、

早すぎるよ、先生。

40巻すげー面白かったのに。

ずっとガマンしてた、続きが読みたくなる気持ちを抑えてた、意図的に考えないようにしてた気さえする。

だってなかなか単行本出ないから。

でも先生、先生には感謝しかありません。

あんな衝撃はベルセルクがなければ知ることはありませんでした。

こんな気持ちになるのもそれが故なんです。

近頃は、どんどん緻密になる絵に、感動すると同時に心配にもなってました。

ほんと余計なお世話ですが、こんなにタマシイ削って描いて大丈夫なのか!?

なんて思ってました。

とりとめのない文章ですみません。

でも、仕方ないんです。

だってベルセルクはオイラの青春そのものでしたから。

そして今でも深く突き刺さったままだったって、先生が亡くなって初めて気づかされる程度の、そんな程度のオッサンなんですから。

先生、安らかに眠ってください。

でも祈りませんよ、手がふさがるから。

先生、先生!ありがとうございました!

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